はじめての室礼。成長を喜び合う感謝の月[11月:七五三]
11月15日前後の休日、神社では晴れ着姿の親子連れが多く見られます。みなさんも七五三での思い出が浮かぶのではないでしょうか?
家族でお祝いしてもらって楽しかった記憶、晴れ着を着てちょっと恥ずかしかった記念撮影、神社で千歳飴をもらえてご機嫌だった帰り道……。
七五三はお子さんのいらっしゃるご家庭が行う伝統行事ですが、今回の室礼では“大人のための七五三”をご提案いただきました。大人になった今こそ、七五三に込められた思いを感じ取る良い機会です。
心を添える室礼を現代の暮らしへとつないでいる「室礼三千」師範の宮田由美子先生に、七五三の思い出を呼び起こし、感謝の気持ちを添える室礼を習います。
11月のテーマ「七五三」の由来
七五三は子どもの健康と成長を願う通過儀礼で、3つの風習に由来します。
男児と女児が3歳になったら髪を伸ばし始める「髪置(かみおき)」、男児が5歳になったら初めて袴をつける「袴着(はかまぎ)」、女児は7歳までにそれまでの幼児用の付紐を外して、大人と同じ幅広の帯を締める「帯解(おびとき)」。平安時代に貴族の間で行われていた儀式が広まり、七五三の伝統となったと考えられています。
子どもの成長を見守ってくださった氏神さまやご先祖さまにお参りして感謝を伝え、これからの健やかな成長をお祈りします。
今回の室礼ではお子さんのためだけでなく、私たち自身が無事成長したことへの感謝の心を表す室礼をご紹介します。
「吉」を表す柑橘類、紅白の千歳飴、厄除けの鈴、七五三の装いの品や思い出の写真などをどうぞご準備ください。
室礼のポイント/縁起物をバランス良く
敷き板に縁起物を供えましょう。まずは大きいものを置いて、それに沿わせるように小さなものを置くとバランス良く配置できます。
宮田先生が柑橘を用意されていました。なぜでしょうか?
「“橘(きつ)”は“吉”に通じる縁起の良いものなんです。グレープフルーツやみかん、文旦などお好きなものをご用意くださいね」。
大きい柑橘で、大吉! 福を招いてくれそうで気分も上がります。
「今の時期なら、よろこびきたるを意味する“嘉来”になぞらえた柿もいいですね。もちろん、供えた後は美味しくいただきましょう」。
丸く小さな鈴も並べて厄除けに。今回は鈴の形の最中に紅白の紐を結びました。「いつも見守ってくださってありがとうございます」。そんな気持ちを添えるひと手間を大切にしたいですね。
最後に長寿を願う七五三の縁起物、紅白の千歳飴を添えます。「千歳飴、大好きだったなぁ」と子どもの頃の記憶がよみがえってきました。当時は甘いおやつに心躍ったものですが、健やかな成長を願ってくれていた両親の気持ちが時を超えて伝わってくるようです。
室礼のポイント/七五三の装いで晴れやかに
かんざし、扇子など七五三での装いを室礼に取り入れるのも素敵です。
お子さんのものを飾るのはもちろん、自分が着せてもらっていた当時のものを探してみてはいかがでしょう?
「七五三で初めて晴れ着をお召しになった方も多いと思います。ご実家に大切に保管されているかもしれませんよ。これを機会に家族で思い出話に花を咲かせるのも良い時間です」。
こちらの細紐は厄除けのうろこ柄です。「こんなに小さかったのか」と自分の成長を嬉しく感じますね。
「祖母が作ってくれた手まりやくくり猿、自分が生まれてきた事を家族が喜び、祝ってくれていたことが思い返せます」と宮田先生も目を細めます。
室礼のポイント/思い出を振り返りながら
七五三の行事は子ども達のためのものですが、誰だってみんな子どもでした。
日本の伝統行事を行った最初の記憶として、心に残っている方も多いのではないでしょうか?
今回、撮影時にみんなで七五三の時の写真を持ち寄りました。
「どこの神社に行ったの?」「兄弟、よく似ていますね」「晴れ着が素敵」
そんな会話も楽しくて、思い出話しをするのも室礼の一部になるのだなとしみじみ感じました。
是非、室礼には記念の品や写真を添えてください。ものが手元になければ、思い出を持ち寄りましょう。
七五三は年齢を重ねるごとに行う「通過儀礼」です。
祝ってもらったことを振り返り、「無事大人になりました」と神社に報告を兼ねて参拝するのもいいですね。
みんなの成長を喜び合う、大切な月になりそうです。
11月 七五三の室礼
こちらが11月七五三の室礼です。
期間は決まっていませんので、秋が感じられるなと思われたら、是非行なってみてください。
「自分の感覚で季節を取り入れる習慣になりますよ。家族が集まるお部屋の一角や、みんなが出入りする玄関の飾り棚など、さっとひと拭きお掃除をして、祈りと感謝の空間にしてくださいね」と宮田先生。
今回、吉を表す柑橘はグレープフルーツを用意しました。そこへ鈴をかたどった最中を添えましたが、本物の鈴で清らかな音色を楽しんでもいいですね。
鈴の音は場を清め、心を穏やかにしてくれる厄除けとして古くから用いられています。
この時期は和菓子店などでも千歳飴を購入できます。鶴亀や松竹梅など縁起の良い図案が描かれたパッケージのものも多いので、それを室礼に生かしたり、千歳飴を紅白の水引で結っても素敵ですよ。お子さんの晴れ着の小物や、ご自身が身に着けていたものも置くと一層華やかです。
11月の室礼はまさに感謝のしるし。この世に生まれたことに、成長を見守ってくれた氏神さまや家族に、たくさんの感謝を込めましょう。
次回は12月、冬至の室礼です。
七五三の直会レシピ
季節の野菜や果物、行事にまつわる食べ物を供え、その後食すことを「直会(なおらい)」といいます。
七五三の室礼で使った柑橘でサラダや、よろこびきたる柿(嘉来)の白和えなどいかがでしょうか? お祝いを兼ねて赤飯を家族で囲むのも、楽しい直会になりそうですね。
柿の白和え レシピ
[材料](4人分)
- 柿
- 1個
- 絹ごし豆腐
- 1/2丁(100g)
- 白だし
- 小さじ1
- 白練り胡麻
- 小さじ2
- 砂糖
- 大さじ1・1/2
- 白煎り胡麻
- 少々
作り方
- ① 豆腐はペーパーにくるみ、重しをして20分ほど置き水切りをする。
- ② 豆腐を手でちぎってボウルに入れ、ゴムべらで滑らかにつぶす。白練り胡麻、砂糖、白だしを加え良く混ぜ合わせる。
- ③ 柿は皮をむいてくし切りにし、器に盛る。2をかけ、白煎り胡麻を散らす。
宮田 由美子先生
福岡市出身。東京都にて「室礼三千」主宰山本三千子氏に師事。日本に古くから伝わる年中行事をわかりやすく、現代の日々の暮らしの中でもできる室礼を提案している。茅乃舎(2014年~2020年)他、各カルチャー教室にて室礼講座の講師を務める。







