今年も残すところあとわずか。街もなんだかあわただしく、年の瀬が近いことを感じます。
大掃除をして、年賀状を書き、年越しの準備と大忙しな時期ですが
新たな気持ちで2023年を迎えるためにも、正月本来の意味にも心を寄せ、室礼の準備をいたしましょう。
心を添える室礼を現代の暮らしへとつないでいる「室礼三千」師範の宮田由美子先生に、吉運を願い感謝を込める正月の室礼を習います。

家族が集まっておせちを食べ、お年玉を渡し、初詣に出掛ける。正月といえば、そんな団欒のイメージが浮かびますね。
元来正月は、神様をお迎えするための行事であったということはご存じでしょうか?
作物をつかさどる神「年神様(としがみさま)」をお迎えして、昨年の実りと平穏に感謝し、新年の豊穣と平安を祈念するものでした。
たくさんの幸福を授けてくださるように、さまざまな正月行事や風習が生まれたのです。
例えば、鏡餅は神様へのお供えものであり、ご神体そのものとも考えられています。
年神様の御霊が宿った鏡餅をその年の魂ととらえ「年魂(としだま)」として、家長が家族に分け与えていました。それが「お年玉」のルーツです。
また、門松は年神様をお迎えするための依代、しめ縄は神聖な場所として結界の役目があり、おせちは供物料理。それぞれに意味があるのですね。
家族が集う祝いの場としてだけでなく、感謝と祈りを込めて正月の室礼を準備しましょう。
今回は柑橘、飾り紐、干支の物や縁起物、蕪などをご準備いただきます。

「毎年、鏡餅やしめ縄などをご用意される方は多いと思いますので、今回は普段のお正月飾りに添えていただきたい室礼をご紹介しますね」と宮田先生。
一年の始まりであるお正月は、室礼の仕方も地方によってさまざまなのだそう。
先生の提案を取り入れて「年神様」を晴れやかに迎えましょう。
まず用意するのは、柑橘です。
「七五三の際にも登場しましたが、『橘』は『吉』に通じるとってもおめでたいもの。今回は鈴に見立てます」。
黄色が鮮やかな文旦に五色紐をそわせました。
今の時期なら「代々家が続きますように」と願いを込める橙(だいだい)や、大きな晩白柚(ばんぺいゆ)で「大吉」を表現してもいいですね。
「お祝い事の際には右回りに紐をそわせます。着物の帯締めや紅白の水引を束ねてもいいですよ」と宮田先生。
結う際には感謝の気持ちを込めることをお忘れなく。

新年を迎える行事ですから、心賑わうようなアイテムも取り入れたいですよね。
なんといっても、干支の物。
2023年はうさぎ年です。先生がお持ちの木彫りのうさぎは、作家さんに毎年干支の物を送ってもらっているのだそう。
「届く頃には今年が終わるなと実感します。毎年ひとつずつ買い揃えていくのが楽しいんです」。
寅の置物がありますが、寅年はもう終わりじゃないんですか?
「前回の冬至の際にもお話しましたが、古代中国の暦では冬至のある旧暦の11月が1年の起点。十二支にあてはめて、旧暦11月は「子(ね)」、12月は「丑(うし)」、そして1月が「寅」の月なんです。なので干支に関わらず、1月の室礼に取り入れてもいいんですよ」。
寅は毎年1月に登場できるということですね。それは知りませんでした。
さらに、こまやおはじき、羽子板など正月にお馴染みの遊び道具も、実は「厄をはねかえす」という意味があるのだとか。
ぽち袋も富士山などが描かれた可愛いものが出始める頃。一気に正月感が増してきました。

こちらが1月正月の室礼です。
文旦に結った五色紐をのせて鈴に見立て、2023年の干支であるうさぎの置物を添えました。
赤い毛氈(もうせん)を敷いているので、とても華やかです。
「屏風や扇子、縁起物が描かれた色紙などを背景に置いて、新年を演出してもいいですね」。
年神様を迎える準備を始める12月13日を「正月事始め」と呼び、この日に神社などではすす払いが行われます。
正月の室礼はこの日以降であればいつ用意されても構いませんが、近年はクリスマスが終わって26日以降で準備されることが多いようです。
ただし、29日は「二重苦」、31日は「一夜飾り」で縁起が悪いとされています。
28日までにご用意されてはいかがでしょうか?
年神様を迎えるため、玄関や家族が集うリビングの一角にしつらえるのが良いでしょう。
そして神様がお帰りになる「松の内」が過ぎたら片付けます。
地域によって異なりますが、関東・東北・九州では1月7日、関西は1月15日までとすることが多いようです。

言葉の盛り物をもうひとつ。
「芽の出た野菜は『おめでとう(お芽出とう)』に通じます。新年の挨拶として、玄関先に盛るのも正月の室礼ならでは」と宮田先生の手には葉付きの蕪。
外側の茎を切っていくと、中から新芽が現れました。
鮮やかな新芽がのぞく白い蕪と紅のラディッシュを並べると
小さな芽吹きに自分を重ね、心新たに「また1年、がんばろう」と決意の気持ちがむくむくとわいてきましたよ。
他にも、初夢にみると良いと言われる「一富士二鷹三茄子」になぞらえて、ふじりんご・鷹の爪・なすびを盛ったり、大きな芽の出たくわい、嘉(よろこび)来たる柿をじっくり干した干し柿、紅白の餅花など「正月の室礼に取り入れたいものはたくさんあって、実はどれをご紹介しようかと迷いました」と宮田先生。
毎年室礼を変えて、正月を迎える楽しみを増やしていけるといいですね。
次回は2月、節分の室礼です。
季節の野菜や果物、行事にまつわる食べ物を供え、その後食すことを「直会(なおらい)」といいます。
正月の直会といえば、おせちやお雑煮。神様に祝膳を供えて共にいただき、新年を迎える喜びを家族で分かち合います。文旦などの柑橘はサラダにしてもいいですし、蕪はお雑煮や七草粥、かぶら蒸しなどいかがでしょうか?
お雑煮は地域によってさまざま。普段とは違ったレシピを楽しむのもいいですね。
今回は福井県の白味噌を使った蕪のお雑煮をご紹介します。
かぶら雑煮 レシピ かぶら雑煮 レシピ
[材料](2人分)
小かぶ
2個
丸餅
2個
昆布だし
1袋
水
400ml
白味噌
40g
花かつお
ふたつまみ
柚子皮
適量
[つくり方]

福岡市出身。東京都にて「室礼三千」主宰山本三千子氏に師事。日本に古くから伝わる年中行事をわかりやすく、現代の日々の暮らしの中でもできる室礼を提案している。茅乃舎(2014年~2020年)他、各カルチャー教室にて室礼講座の講師を務める。
掲載している商品情報は記事公開時点のものです。
最新の情報は久原本家通販サイトにてご確認ください。
①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑬⑭⑮⑯⑰⑱⑲⑳㉑㉒㉓㉔㉕㉖㉗㉘㉙㉚㉛㉜㉝㉞㉟㊱㊲㊳㊴㊵㊶㊷㊸㊹㊺㊻㊼㊽㊾㊿
折々の会とは
日本の食文化ならではの「知恵」を、日々の暮らしで実践していくための、
久原本家のポイント会員様向けサービスです。ご入会は以下よりお進みください。
キーワードをご入力ください